2005年7月21日木曜日

「負け犬は日本の伝統芸能・文化にハマる」(酒井順子)



今朝の日経「教養アゲイン」で酒井順子の次のような言葉が引用されている:
負け犬達の動向を見ていると、日本の伝統芸能、伝統文化にハマりゆく独身女性がいかに多いかが、理解できます。(『負け犬の遠吠え』より)

やたらナショナリズムと国粋主義にハマっている一部のネットウヨ達もそうなのかな〜。

独身女性の間で日本の古典芸能の人気が高いそうだ。観世流が仕舞教室を開いたら受講 者の7割は女性が占めたそうだ。また国立劇場が歌舞伎鑑賞教室を開いたら、これも7割が女性で、6割は20代から40代の女性だったらしい。たしかに中高 年女性の間での歌舞伎とか相撲見物熱は異常に高い。日経はこれでは男の子達は取り残されてしまうと危機感を表明しているが、そんなもんでもないだろうと思 う。

つまり女性達は茶道とか華道を習うのと同じ感覚で 歌舞伎鑑賞の教室に行っているのだと思う。文化には違いないが、どうも「教養」というものとはちょっとずれている感じがする。江戸時代から明治時代も歌舞 伎見物は奥様方の最大の趣味だった。でも、奥様方にはそれほど「教養」はなかったように思う。歌舞伎はテレビのバラエティー番組やブランド商品と同じよう なものだった。やたら芸能人のゴシップとブランド品の特徴に詳しいのと同じようなもんだ。

むしろ問題は、もし酒井順子氏が正しいとすれば、負け犬達が「一種の逃避として」古典芸能・文化にハマっているという面であり、悪いとは言っていないが、動機が不純なのである。

最近の若者達の間で、ニッポンはやっぱり一番だという国粋主義・ナショナリズムが蔓延っているという。もしこれも酒井順子氏が言われるような動機でそうなっているとすれば、日本は甚だ危うい。

Posted: Thu - July 21, 2005 at 07:00 PM   Letter from Yochomachi   名言(迷言)集  Previous   Next   Comments (4)  

2005年7月11日月曜日

農協新聞はもうちょっと「羞恥心」を持て!



農業協同組合新聞と いうオンラインの新聞がある。彼らはお金を持っているので、オンライン新聞としてはなかなかの出来栄えのものとなっている。でも、その内容がひどい! 消 費者の利益はまったく無視した、自分たちの利権擁護のためだけの宣伝(デンパ)アウトレットとなっている。農民利己主義丸出しの主張の繰り返し。もう ちょっと「羞恥心」を持って欲しい。

今回の論説も そうだ。日本の「農業」の将来を考えるのではなく「農民」の損得しか考えていない。農業改革を志向するまじめな提言者に対しては(御用学者を引っ張り出し て)名指しで執拗な人格攻撃をさせ、このめちゃめちゃな攻撃手法を農民に共有させるという戦略(理論武装のつもりらしいが)。

かくして日本の「農業」は亡び、日本の「農民」はますます豊かになるのである。

日本の農民世帯の年間収入は勤労者世帯の収入をはるかに上回る。おまけに自家用車なども農作業に使うとかいって経費申告自由自在だ。そのくせ弱者を気取る。

2005年7月6日水曜日

なぞなぞ「百歳以上の老人の人口比率は日米どちらが高い?」



今朝の日経経済教室で一橋大学教授の井伊雅子氏。もちろん「健康的な」伝統食を食べている日本だと答えた人は間違いでした。

井伊氏によると:
  1. 日本の百歳以上の人口は約23000人(2004年10月)
  2. 米国では約60000人(2004年7月)
  3. 米国の人口は日本の人口の約2.3倍。
  4. よって米国の方が長寿者の比率が高い。

とのこと。

井伊氏は高齢者医療改革の議論では「データに基づく議論が不可欠だ」と言うことをおっしゃるために一例としてこの数字を引いておられるのだが、医療面ばかりではなく日本ではこの種の思いこみに基づく議論が多すぎるように思われる。「和食=伝統食=健康食」という思いこみもこの類の議論だ。

今現在われわれが「和食」だと思って食べているものは、日本の伝統食なぞではない。天ぷらにしても牛鍋(すき焼き)にしても全部外国から來たもの。カレーライスも然り。戦後日本人の栄養失調問題の改善のためにGHQがやたらフライ(揚げ物)を推奨したのも(フライが一番簡単なカロリーアップ方法だった)いわゆる「日本の伝統食」をややこしくした。遡っては日本陸軍の兵隊食がある。陸軍でもやたらカロリーが重視された。そのためには材料が整わないときには、手っ取り早く砂糖を大量にぶち込んでカロリー計算の辻褄を合わせたと、さる主計士官から自分の体験として聞いたことがある。カレーライスが海軍から日本全土に広がったように、日本食がやたら甘辛くなったのもこのへんに理由があるのかもしれない。背景としてそれ以前の「伝統食」では兵隊を戦わせるだけのエネルギーが確保できなかったことがある。もちろんカロリーアップだけを考えたこの種の「改善」も健康食なんぞではない。

またぞろヘンな思いこみによる一律的な「食育」がなされるのであれば、困ったことである。